車輛紹介
(2000年4月1日現在)
さて、次は車輛ですが、富山軌道線の車輛は地方の路面電車としては珍しく、大都市の路線から譲り受けた車輛が在籍していません。そのため、車種も種々雑多というわけには行かず、人によっては面白くないと感じる向きもあるでしょうが、富山の顔として日夜走りつづけている彼らの姿をどうぞ見てあげてください。
[1]デ7000形
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県庁前行のデ7014 |
大学前行のデ7012[新塗装] |
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デ7000形車内 |
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デ7000形の横腹についた地鉄の車紋 |
入口の注意書き |
昭和32年、それまで単車の天下だった富山軌道線に投入されたボギー車です。ちょっと外見からは一目ではわかりづらいのですが、実は都電往年の車両である6000形を真似して作られたものといわれています。ただ、裾を絞っていないのでかなり幅広に見えますが……。
登場以来、数回にわたって増備を行って徹底的に単車を追い出してしまったため、平成5年に後継のデ8000形(下を参照)が登場するまで実に28年間(!)富山軌道線の運用を独占していました。そのうち廃車されたものもなくはありませんが、現在も多くの車輛が冷房改造されて健在です。
車内は確かに昭和30年代に作られた車輛らしく、木張りの床にペンキで塗りこめられた窓枠、その他古めかしい調度品と、なかなかぐっとくるアイテムが並んでおります。マスコンもがりがりいいますしね。それと、特徴的なの車外の広告の多さ。この写真に写っている車輛ではそれほどでもありませんが、すごいのになると窓の上に屋根よりも高く電光広告板を四面につけて走っているのがいます。その広告の中身が、自社の「立山黒部アルペンルート」の広告だったりするのがご愛嬌です(笑)。
塗装は写真にもあるように緑とベージュを湘南電車よろしく腹掛け形に配したものですが、最近デ8000形にあわせて裾を緑、その上全部をベージュにした上、赤い細帯を配する塗装になったものが登場して来ています。
[2]デ8000形
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南富山駅前行のデ8004 |
デ8000形車内 |
平成5年、長らくデ7000形の天下であった富山軌道線に、後継車輛として28年ぶりに投入された車輛です。地鉄全体でも長いこと車輛の新造をしていなかったため、実に35年ぶり(!!)の新車となりました。もうご覧になればお分かりかと思いますが……本当に今の電車です(笑)。やっぱり30年以上のブランクってのは長かったのね……と思わせるものがあります。
35年ぶりの新車ということで設備にも非常に力が入っており、VVVF制御にシングルアームパンタと、中小私鉄としては珍しいくらい最先端の設備を取り入れています。ただ、方向表示はLEDなどではなく幕です(こっちの方が絶対見やすい)。
車内もなかなか落ちついた雰囲気です。窓も大きくて気持ちがいいですしね。あと、車椅子スペースとおぼしきスペースが運転席の後ろにあります。ここに人がいない時に、窓に向かって立って車窓を眺めていると、なかなかいい気分です。
とりあえずデ7000形の「後継」という扱いで、実際にデ7000形数両の廃車と入れ替わりに投入された同車ですが、よくある「追い出す新型」と「追い出される旧型」という緊張関係はないようで、デ7000形に混じってごろごろ走っています。
[3]デ3500形
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デ3533前面ビュー |
デ3533側面ビュー |
昭和26年、富山軌道線に投入された戦後生まれの単車です。単車は戦後も長いこと路面電車に使われていましたが、そのほとんどが戦前・戦中製で、このように戦後生まれというのは珍しいです。
かつては独特な形状をしたトロリーボウ(グラウンドをならすのに使う「トンボ」形の集電装置)を頭につけて軌道線を闊歩していましたが、昭和40年を最後にデ7000系に後を譲って引退。そのほとんどは廃車されましたが、そのうち2両だけが除雪用に残されました。
営業用車輛ではなくなったため、さまざまな改造が加えられ、集電装置はZパンタ、窓はHゴムのはめ殺しに取り換えられてしまいました。特にHゴムの窓が6列並ぶさまは、車内に雑然と置かれた機器の姿とあいまって、はっきりいって異様です。
写真では1両しかいませんが、普段は2両揃って南富山駅構内の堀川車庫の中、駅の構内踏切の近くの側線に置かれています。除雪用のため当然出番は冬で、大雪が降った時などにスノウブラウをつけて除雪作業を行ったり、始発前に線路上を往復して線路の凍結を防ぐ作業を行っています。
Copyright(C) Masaki Tomasawa.