車輛紹介
(2000年9月17日現在 その2)
[3]870形(873〜876、2両ずつの組み合わせで2編成)
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折り返しのモ870形 |
元札幌市電の肩書きを持つ、美濃町線では唯一の外来車です。昭和40年、札幌市電A830形として生まれ、昭和51年に美濃町線に「道産子電車」として譲渡された車輛です。大きな両開きのドアに幅の広い車体のために収容力が高いばかりでなく、スタイル的にも丸みを帯びた車体に独特な形態の全面と洗練されており、「ヨーロピアンスタイル」として人気がありました。平成3年から行われた冷房化改造でZパンタをパンタグラフに交換されたり、飾り帯を撤去されるなど大きな改造を受け、そのスタイルも多少薄らいだようですが、その分美濃町線という路線に心地よく居着いてしまったようにも見えます。
車内はごく普通のロングシートですが、他の車輛と比べてゆったりしています。またモ880と同じようにドアの横にツーマン時代の名残の戸閉装置が残っています。
以前は600V専用車だったため運用が徹明町〜日野橋間に限られていましたが、このたび複電圧化されたことで、新岐阜〜関間の長距離運用に主につくようになり、主力の一端を担っています。
なお、ツーマン時代の同車についてはこちらをご覧下さい。
[4]モ600形(601〜606)
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新岐阜行のモ606 |
モ606車内 |
昭和45年、市ノ坪車庫への引込み線を利用して各務原線に乗り入れを始めた時に投入された、記念すべき美濃町線の複電圧車第1号の車輛です。
ご覧になれば分かる通り、思いっきり車体の両端が絞られて細身になっているのが特徴です(幅2200ミリ)。何だか花巻電鉄鉛軌道線の「馬面電車」を連想させる細さです。なぜこうしたかの理由は定かではありませんが、美濃町線自体道路の端、それも民家の軒先を走る部分がかなりあるので、それに配慮してのものと思われます。このような細身の状態で複電圧装置などというややこしい機械を抱え込んでいるため、抵抗器が屋根に追いやられてしまっています。そのため冷房がつけられず、夏は窓を開け放って走らざるを得ない状態になったり、車体に対して台車が高くなるため、乗客は高いステップを使って乗りこまなければいけないなど、弊害も生じて来ています。
駆動方式は釣り掛け式、それも全国的に滅びかけているHL車(手動進段車)で、運転手の経験によってノッチを投入して走るという「職人技」を求められるその運転形態は、非常に貴重な存在です。また行き先表示は名鉄電車独特の「めくるサボ」ですし、車内は1人掛けと2人掛けの転換クロスシートが並んでいるなど、いろいろ変わった特徴を持っている車輛として有名です。
主に新岐阜〜関間の長距離運用についていましたが、2000年12月にワンマン改造されたモ606を残して今年度中に全車廃車されることが決まっており、非常に残念です。
なお、ツーマン時代の同車についてはこちらをご覧下さい。
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